大判例

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札幌簡易裁判所 事件番号不詳 判決

右の者に対する所得税法違反被告事件に付当裁判所は検事某立会の上審理をして次の通り判決する。

主文

被告人を罰金六十万円に処する。

右罰金を完納することが出来ないときは金三千円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置する。

理由

被告人は、北海道函館市東雲町二十二番地に於て古物商の傍ら質商を営んでいるものであるが、昭和二十四年一月末日函館税務署に対し、昭和二十三年度の所得金額の申告をするに際し、其申告を要する所得金額が合計金五十八万五百五十四円三十九銭であるに拘らず、之を金七万五千四百六十三円なる旨虚偽の確定申告をし、因つて同年度の所得税の一部である金二十七万二千七百四十七円十銭の所得税の徴収を免れたものである。

右事実中、

一、冐頭掲記の被告人の営業に関する事実は同人の検察庁に於ける第一回供述調書の中に其旨の記載があることにより之を認め、

二、所得額の確定申告に付虚偽の申報をして所得税の一部を免れた点は、

(一)  押収してある被告人の収支決算帳第十三頁乃至第十五頁の月算成績表と摘記してある部分に同人の昭和二十三年度に於ける収入として合計金六十六万九千五百六十九円三十五銭の受入があつた旨の記載があること。

(二)  右収入の内には金五万四千円の不動産の譲渡代金及金二万二千九百九十五円の動産の譲渡代金が含まれていること、右譲渡物件の内不動産は為国サトから無償贈与を受けたものであること、其譲渡に際し、登記料、代書料として合計金四千円の必要経費の出費があつたこと、動産は余剰家財道具類であつて昭和二十一年三月三日前に買受けたものであり、其頃に於ける右道具類の価格は合計金一万円位のものであつたこと、及これらの財産の譲渡代金は全部営業の運転資金に利用したものであること、の各事実に付被告人の当公廷に於ける其旨の供述、被告人提出の贈与証書と題する書面(土地、宅地に関するもの各一通)の中に右贈与事実の記載があること。

(三)  被告人が昭和二十三年度に於ける必要経費として負債利子金三万七千十円六十六銭、自転車税金一千四十円、地租金一千七十五円八十銭、家屋税金一千八十一円、組合費金六十円、営業の設備費用として看板代金三千円、を含む経費を支出していることに付、検察庁に於ける被告人の第一回、第二回供述調書を通じて其の中に之に照応する供述の記載があること。

(四)  被告人が昭和二十三年度の所得を金七万五千四百六十三円と申告したこと、同人の同年度の既納所得税額が合計金一万五千二百七円であること並に同人の扶養家族が一名であることに付函館税務署長から検事某に宛てた被告人の昭和二十三年分所得金額申告に関する報告文書中に其旨の記載があること。

を綜合して之を認める

そこで判示事実は証明十分である。

法律によると、被告人の判示所為は、所得税法第六十九条第一項前段、第二十六条第一項第一号、第一条第一項に該当するので所定刑中罰金刑を撰択し、刑法第六条に従い軽い変更前の刑額の範囲内で被告人を罰金六十万円に処し、右罰金を完納することが出来ないときは、刑法第十八条を適用して、金三千円を一日に換算した期間被告人を労役場に留置することとして主文の通り判決する。

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